目次

  1. 69難型の症例
  2. 75難型の症例
69難型の症例
患者:男性65歳
主訴:
突然左の膝特に、膝蓋骨全体に痛みを生じ、歩くのが困難になった。特に原因は思いつかない。
問診と診断:
2018年の2月、東京は100年に一度と言われる大雪に見舞われました。
この異常な積雪により、身体の冷えを感じていたとの事から、膝の痛みは冷えが原因と
思われます。
問診で冷えが原因と考え、腎経の変動と想像しました。
同時に、患者さんの膝の痛みは膝蓋骨全体であるから、胃経の変動と解釈しました。
膝の痛みに関与する重要な筋は、大腿四頭筋の内、大腿直筋と外側広筋と言えるでしょう。

また、経絡と関わりの深い筋肉に関係する編は「霊枢経筋13」です。
この編は、筋肉群の流注とその病症及び治療法が述べられています。
病症は主に疼痛と運動疾患です。
脈診:
果たして、腎虚心実の69難型でした。
治療
腎虚心実の69難型
治療直後、はぼったい感じと左のひざの痛みが少し緩和したとの事。
翌日には、膝の痛みはほとんど解消した。
治療はこれでしゅうりょうした。

75難型の症例
その後の経過を述べてみます。
彼は、痛みが解消した後、筋肉の低下を自覚し、8階にある住居までの階段を毎朝夕使用する
ことにしました。
階段の使用を始めてから、約1週間経った頃、階段を下る時に、左の膝の外側に軽い痛みと
違和感を感じました。
痛みに対して少し不安は有りましたが、階段の使用を続けていました。
痛みを感じ始めてから三日経った頃、夜中に急に膝の痛みで目が覚めました。
膝に手をあてると熱が有り、膝は痛みで曲げることが出来ません。
よく「身の置き場がない」と、言う言葉を耳にしますが、正に痛みで足の置き場がないと言った
感じでした。

診断:
左膝蓋骨の外側に熱感が有り、浮腫も有りました。膝の屈曲も伸展も痛みで困難でした。
「膝に水が溜まっている」と、告げると、「先生、水を抜いたほうが良いでしょうか」と、
質問が返って来ました。
「絶対にだめです。」と、私は言下に否定しました。
ほとんどの整形外科では関節周囲の浮腫に対して、水を抜き、ヒアルロン酸の注射を行うようです。
確かに水を抜いた直後は関節痛は楽になります。
しかし、何故水が溜まるのかを考えると安易に水は抜かない方が賢明です。
水の貯留は炎症を冷し、抑えようとする生体反応の結果です。したがって、整形外科で水を
抜いても再び数日後には水が溜まります。
この水を抜く処理を続けた結果、最後に水が出なくなり、医者に見放されたケースを知っています。
最終的にその患者さんは人工関節の手術を受けました。
治療
1回目
脈診:
脾実肝虚の75難型。
背部の刺鍼を終えた後、左の膝関節付近を触診し、熱感が解消し、浮腫も少し改善したのを確認してから、患者さんに症状を尋ねました。
膝の伸展は楽になったが、屈曲すると、まだ少し膝の外側に痛みが残っているとの事でした。
脈診を行うと全て平でしたので、様子を見ることにしました。
2回目:
治療は翌日に行いました。
問診
膝の痛みはほとんど良くなった。しかし、膝を屈曲する時に軽い痛みを生じる。
所見
浮腫はほとんど解消。
脈診
肝虚脾実 81難型。
背部の刺鍼を終えた後、症状を尋ねると、かなり楽になった。しかし左の膝の外側に違和感が
残っているとのこと。
痛みは左の経筋経の少陽の筋肉軍に当たります。
この痛みの箇所に少し深い刺鍼を行いました。
3回目
治療は1週間後に行いました。痛みが生じたら、我慢せずに来院することを確認しておきました。
問診:
痛みは解消し、浮腫もなくなった。
脈診
肝虚脾実 69難型。
痛みが解消したので治療は終了しました。

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